Cygnus

思い出したよ、全部
あの時の心
最初の言葉
温かかったね、優しかったね
そうだよね

例えば気づくと無くしてしまう瞬間があって
それはどうしようもないことで
傷痕に逃げてしまうように
莫迦なことだとわかっているくせに

それでも光はあるということ
あんなに想った瞬間があること
それだけで十分だ
生きていくには十分だ


「そばにいてくれて、ありがとう」

間違ってないよ
消えない 消さない
記憶の形は歪んで崩れて
笑い方を忘れて口を噤んだ

だって、ねえ
触れられないところで貴方は
どんな顔をしてナイフを握って
愛して 傷付いて
苦しいなんて必死に藻掻くの

鋭く抉る言葉は
溢れる血液で視界まで見えない
きっと泣いていた 二人
傷口はそっと喉の奥
何も言えずに砕けた音、それでも

滑り落ちた愛を拾い上げて
伸ばす腕、泣かないで
貴方はこんなにも愛されてる
ねえ、こんなにも愛してるから
だから聞いて、大丈夫だよ
伝わらなくても、叫ぶから
消えない 消さない
どんな記憶も此処に残すよ







　　　　　　　　　　　　　　-2012年04月21日-

不安定になる棘だらけの言葉からも
ヴェールを被せた倍の棘で
貴方は返して守ってくれるから
嬉しくて泣きたくて
無力な自分を呪うことも忘れて

何もできなくて立ち尽くすまま崩れても
貴方の振るう二つの牙は屈したりせず
一つも二つも三つも壊して
守り抜いてくれるから
嬉しくて悲しくて
上手くなるからって言って謝って

どこまで行っても
悲しいくらい脆弱なわたしは
貴方がいなければ
とうに失っている筈の場所で
貴方がいるから笑っていて
強くなるよと言いながら
きっといつまで泣き続けて


怒らないで
きっと全部わたしが悪い、
のだと思うのはあんまり辛いから
原因なんてどうでもいいと言って
貴方が守ってくれた事実だけ
覚えて大切にしていればいいの
だよね？


愛しているから
きっと全部大切にするから
貴方のしてくれたこと
無駄になんてしないから
わたしを好きでいてくれて
守ってくれて、助けてくれて
その全部ちゃんと覚えてるから
だからわたしにできること
なんだって貴方が喜んでくれるなら
するから、支えるから、
だって愛してるから


大丈夫、
貴方がいるから大丈夫
愛してるから 大丈夫







　　　　　　　　　　　　　　-2012年04月04日-

嘘じゃないと知ってる
でも約束は嫌い
守れると確かな証拠も無いのに
そんなに簡単に口にして
いつか後悔しないって
本当に本当に言い切れるの？

愛してるのにきっとどこかで
無我夢中に為りきれなくて
<注意深く>何が起きても良い様に
じっと身を固めて
嘘になったって良い様に
例えば貴方がどこか遠くに
わたしじゃない誰かのところに
行ってしまっても
笑って幸せを願える様に

いつだって、だから
今だけでいいのに
約束と囁く貴方さえ愛しくて
泣きそうになりながら
約束だねって笑うの

そうだね、約束だね
ずっとずっと一緒にいようね

貴方しかいないの
貴方だけなの
約束なんかしないで
そんな不確かなものなくたって
縋らなくたって
側にいるよ、いてくれるよね

未来なんてどこにもないよ
約束なんかで形にはならないよ
いつかの今になってみなきゃ
そんなのわからないよ

貴方を愛していて
貴方も愛してくれて
手を繋いで
それだけでいいの
それだけでいいから







　　　　　　　　　　　　　　-2012年04月04日-

溶け合って絶望になった
擦り切れた優しさと
比例して大きくなる弱さと

君がいないことの
埋まらない傷痕は隠して
悲しみも痛みも
背負って泣いて

それでも愛は貴方の為に
全て貴方に降り注ぐ雨の様に
確かに届け、誓った永遠なら
全て捨ててもいいと思う

この世界で生きていくこと
楽にはなれないということ
それでも貴方がいるということ
幸せになることは出来るのだと

生きることそのものが
楽を捨てることなら
それでいいと今は思う
逃げられないなら
逃げないよ
ちゃんと、立ち向かうよ

幸せはここにあるから
守るんだ



愛するよ
必ず最期まで貴方を
愛し続けるよ
きっと貴方を幸せにするよ
弱くて幼くて泣き虫で
人並みに頑張るのも精一杯で

だけど、こんなに
たったこれだけのことだけど
貴方と幸せになりたいと
逃げずに立ち向かえたから
きっと大丈夫
歩けると思う

もう傷痕に逃げることは
ないと、
貴方がいることで出来た
それは私の力だから

必ず最期まで、
愛するよ







　　　　　　　　　　　　　　-2012年03月24日-